業界で活躍するトッププロからのメッセージ
教育顧問 声優・俳優 増岡弘先生 × 松本祐一さん 対談

"できない"を"できる"に変える努力を!
その積み重ねが、夢をかなえる秘訣!

華やかなスポットライトを浴びてステージに立つ、俳優や声優、タレントの仕事。

誰もが憧れる場所だけに、誰もが簡単には立てるわけではありません。
では、どうすればその夢はかなえられるのか?

“いまの自分にできること・できないことを把握して、
できないことをできるように変える努力をし続けさえすれば、きっとその夢はかなえられる”

そう熱く語り合ってくださったのが、本校教育顧問の国民的声優・増岡弘先生と、卒業生で舞台『K』などに出演する俳優・松本祐一さんです。 プロとして活躍するために、どんな心構えで、何を学ぶべきか、たっぷりと語っていただきました。

役者としての「はじめの一歩」

僕の存在がキャラを成立させる。その責任の重さをいつも考えています。 ― 松本 ―

増岡先生 :舞台を中心に大活躍ですね、松本くん。あなたがプロとしての「はじめの一歩」を踏み出したころは、どんな役者さんだったの?どんなことを教えてもらったんですか?

松本 :舞台で初めてメインキャラクターの役をもらったとき、演出家の方にいただいた言葉が印象に残っています。「舞台のキャラはもともと存在しない人物。そのキャラに三次元の命を吹き込むのはきみ自身なんだよ」と。僕によってキャラが成立するということに、責任感や重みを感じました。このとき感じた胸の高まりは、今もずっと忘れられずにいます。

増岡先生 :それは素晴らしい言葉だね。そういう基本的で普遍的なことをキチンと教えてもらえたのは、ありがたいことです。私が近感じるのは、そうした“演じる魂”を教えてくれる先生が少なくなっているということ。たとえ少々厳しいことを言っても、それはその人のためですから。教える人と学ぶ人の関係が作りにくくなっているかもしれませんね。

松本 :僕らには、まだまだ客観的な目で見たアドバイスが必要なんです。役者として大切なことを自分で気づきながら自力で前進できればそれに越したことはありませんが、誰しもそんな力は持っていません。言われて初めてわかることの方が圧倒的に多いんですから…。

増岡先生 :昔は、とにかく「声を出せ!」「高い声低い声、すべて出せ!」と言われて、限界まで稽古したものです。出せる声域が広がれば、表現の幅も広がっていきますから。でも今は、あまりそういうことをしなくなった。結果、個性のある声を出せる男性の声優さんは少なくなってしまった。本来、声帯は鍛えれば鍛えるほど素晴らしくなるはずなんですが、鍛えるように指導できていない…。実にもったいないことです。

松本 :やっぱり増岡先生は手厳しいですねぇ(笑)。増岡先生の厳しい指導は、僕たち学生の間でも有名でした。

増岡先生 :ハハハ、そうですか。実は、あんまりやり過ぎちゃいけないかなと思う時もあるんですよ。が、私は嫌われてもいいから本当のことを言おうと決めています。指導者は指導してこそ指導者なのですから。「もうちょっと気持ちを込めてやった方がいいよ」なんてあたりさわりのないアドバイスをしていては、100 年経っても声優になんかなれません。この学校で学ぶ学生には、卒業するまでの間でたった一つでいいから、自分自身にバチッとハマる「この人にしかない魅力、この人でなければならない仕事」にめぐり会えるきっかけを見つけてほしいと思っています。

プロの楽しさ・厳しさ

“いつでも本番を迎えられる自分”を作る。チャンスをつかむためには、それが大切。― 松本 ―

松本 :そういう仕事にめぐり会うためには、どうしたらいいんでしょうか。

増岡先生 :役者として素晴らしい世界に立つ日のために、今は自分の力を蓄えてください。そして、なるべく多くのお客様に見てもらう。そうすると、必ずどこかでチャンスが来ますよ。チャンスが来たら絶対にそれを逃さないこと。チャンスは人生でそう何度も訪れませんからね。なかでも人生を左右するチャンスというのは一回だけなんです。それを逃しちゃいけない。

松本 :僕にもチャンスが来る日がありますか?

増岡先生 :チャンスをチャンスと思えるかどうかも、才能の一つです。チャンスが「僕がビッグチャンスだよ」と大声張り上げながら歩いて来てくれればいいですが、そんなことはない(笑)。常に逃さないための心構えをしておいて、これがチャンスだ!と思ったら、何が何でもものにする。チャンスは待つものではありません。チャンスは自分で作ってつかむもの。そう考えることが大切です。

松本 :日々訓練。いつでも本番を迎えられるような自分をつくっておかないといけないということですね。

松本先輩が語る「学生時代に学んでおいてよかったこと」

自分の専攻科目以外で履修したダンス! 26種の選択コースは積極的に受講して正解!

現在、僕がいただいている仕事は、ほとんどが舞台です。激しい動き、リズミカルな動き、ダンスシーンなどもたくさんあります。僕は学生時代に、専攻コースにはない科目を自由に履修できる選択科目の中から、ダンスの授業をとっていました。実は、これがかなり、いま現場で活きています。一定レベル以上の基礎がカラダに叩き込まれているためか、そんなシーンの表現力にも自信があります。学生時代に勉強しておいてよかった!と思うことの一つです。やはり、“あれもできないこれもできない”ではチャンスにめぐりあうことも、つかむこともできませんからね。

たとえば、“セリフなしで演じて”みる。言葉や文字に頼り過ぎる自分に気づきます。― 増岡先生 ―

増岡先生 :松本くんは、日ごろどんな訓練を?

松本 :僕は、とにかく台本を読みまくります。自分のセリフのところだけでなく、頭から最後まで全部読めば、読むたびに発見があるんです。自分が出てないシーンであっても奥底ではキチンと自分のセリフにつながっている。自分に関係のあるところだけを読むより、作品をずっと深く掘り下げられると思います。

増岡先生 :ええ、それはとても大事ですね。

松本 :それでも、演じる人物の心の中や考え方がイメージしづらくて、まったく動けないときもあります。単に段取りを追うだけの演技しかできなくて…。そんなときは家に帰って一人で落ち込みます。

増岡先生 :あぁ、なるほど。そういうときには、自分から大事なものを取り上げてみると、見えてくることがあるんですよ。例えばセリフなしで演じてみる…。一番感情を伝えやすいはずの言葉や文字に頼らずに、この状況で自分はどんな表現ができるんだろうって考えてみるんです。そうすると、ふだんは自分が知らず知らずのうちに、いろんなものに頼って演じてしまっている自分がわかるんですね。

松本 :せ、セリフなしで演技ですか…。

増岡先生 :言葉に頼って、ただセリフを言うだけが演技ではないんです。「ただいま」という言葉一つをとってみても、駅から自宅まで歩いて帰ってきて、ようやくドアを開けたときの「ただいま」と、ちょっと舞台のソデから出てきて口先だけで言う「ただいま」とは、息づかいも全然違うでしょ?その違いをリアルにイメージできる、それは役者として欠かせないセンスですから。

松本 :そういうことも訓練していかないといけないんですね。

増岡先生 :初めからは無理でも、稽古を通じて、昨日より今日、今日より明日と、注意すべきことや心がけることに対する意識の範囲を広げていく。本来、稽古は苦しいものなのです。なぜなら、さまざまな角度から自分をチェックして、できていないものをできるように鍛える場ですから。そうして稽古に向かう意識のレベルを上げていけば、稽古よりも本番の方がラクになります。むしろ、本番は稽古の時よりもリラックスできていないとダメ。心にゆとりが持てれば視野も広がります。そうすると、芝居が進むそのさなかにあっても、もっとこうした方がいいかなとひらめいたり、それを動作に取り入れたりもできる。演出家には「あいつ的確だな」と喜ばれるし、共演者の方々にも「あの人と一緒に舞台をやると楽しい」と思ってもらえるわけですね。

松本 :たしかに。余裕がないと、ふだんできていることでさえもできなくなってしまうんですよね。

増岡先生 :たとえば、与えられた役が好きな人物ではなかった場合なども同じです。心に違和感や負荷があったとしても、あえて自分を厳しく律してその役と向き合い続けてみる。すると、これまでの自分では表現できなかったものまでも表現できるようになるのです。

俳優・声優をめざす人のために ─『演じる』ことにつまずいたなら─

増岡先生が本校授業で指導している「演技の稽古のエッセンス」大公開

表現に悩んだら
初めのうちは、どう表現したらいいかまったくわからないことも多いはず。普通は、そんなとき「よりよく演じよう」とがんばるわけですが、反対に、“さすがにこれはないな”と思える一番下手でふさわしくない表現を試してみましょう。そこから少しずつ演技をチューニングしていけば、その対極にある“理想的な演技”がおのずと見えてきます。
せりふを覚えるには
僕が昔からやっている方法を紹介します。まず、相手のセリフを全部レコーダーに録音。もちろん、自分のしゃべるところの間をおいてです。それを聞きながら練習すると、会話全体を流れの中でスムーズに覚えられます。目と耳、両方から覚えられるため、効率よく覚えることができます。
演技の幅を広げるには
相手の役と自分の役をチェンジして演じてみましょう。相手がうまい人の場合には、かなり悔しい思いをしますが、同時に気づくことも多いはずです。演技には初めから用意された正解や完成形はありません。誰かが用意した答えを探すより、自分なりの答えを作り出すのが演技。完成をめざしながらも未完成であってもよいのが役者です。さまざまな刺激を受け続けながら、成長を止めることなく、前に進み続けられる人でいください。

後輩たちに送るアドバイス&メッセージ

目の前のことを一つひとつがむしゃらに。一生懸命にやってほしい。― 松本 ―

松本 :僕はいま、自分の人生とは異なる人の人生を生きられる役者という仕事に、大きな魅力とやりがいを感じています。一つの芝居を、演者やスタッフみんなで作り上げる感覚や、舞台の上でお客さんと一緒に芝居を完成させる感覚もすごく好きです。まだまだ僕自身がわかっていないことだらけなのですが、後輩に伝えられることがあるとすれば、「ただ目の前のことを一つひとつがむしゃらに一生懸命にやるべき」ということ、だけかなぁ。

増岡先生 :一生懸命やっている人に対しては、何かしらの手助けしてあげようという気持ちになるからね。

松本 :ハイ。頑張っていれば、手を差し伸べてくれる人は絶対に現れると信じています。僕は、周りの多くの方々に支えられてここまで来ました。人は一人の力では、何も成し遂げることはできません。だから、人と人とのつながりはすごく大切だなと思っています。

増岡先生 :学生時代の仲間と、今もつながっていたりするの?

松本 :クラスメイトも声優になっていたりして、今でもいいライバルです。ご飯を食べに行って近況報告したり、お互いに刺激し合っています。

増岡先生 :松本くん自身は、今後どのような仕事をしたいと思っているんですか?

松本 :まだ全部をうまくやれるわけではありません。自分が求められている一つのところを「ここだけは誰にも負けないでおこう」とか、舞台の上に自分が立つときは「その場の空気を壊さずに一員になれるようにいよう」とか。今の自分にできることは確実にやる。たとえ今はできなくても、明日にはできるようになるためにその努力は惜しまない。少しずつでいいから、自分ができることを増やしていきたいと思っています。

増岡先生 :自分は何ができていて、何ができていないのか、明確に知っておくことは大切ですね。演劇というのはお客さんに「よかったよ」と評価されて初めて良い舞台と言えるんです。そういう意味ではひとりよがりにやっているだけではダメ。声優になることや、俳優になること、それ自体を夢とされても困るんですよ。声優になること、俳優になることをめざして、必要な力をつけるためにしっかり努力していかないと…。

松本 :目標に近づくためには、できることを増やしていくことが大切なんですね。

増岡先生 :そうです。まずは、自分ができていないことをちゃんと把握して、できるように努力していかないと。ときどき欠点も長所だとか言う人がいますけど、欠点はやっぱり欠点ですよ(笑)。この業界にいながら、滑舌が悪かったり下手くそだったりするのは、どうひいき目に見たところで欠点ですからね。

松本 :ハイ(笑)。

役者として戦う前に負けてしまう…。そんな人がいるのは、もったいない。― 増岡先生 ―

増岡先生 :それから、戦う前に負けてしまう人がいるのも、もったいないと思いますね。先ほども言った通り、演劇はお客さんに評価されて成り立つものです。評価もされないうちに勝手に自分自身で無理かなと思う必要はないし、一人や二人にダメと言われたからって、諦める必要もないんです。「壁にぶつかった」なんて落ち込んでいる人にも、よく見るとそれは壁ではなくてドアで、そのドアを開けてさえいれば、次の部屋では輝けていたはずのに…なんてこともあります。

松本 :諦めるという選択肢を選ぶ前に、もっといろいろやれることはありますからね。

増岡先生 :そうなんです。例えば、今は便利な世の中で、自分の声をボイスレコーダーに録音したり、自分の芝居をビデオで録画したりもできる。それを冷静な目で分析して、自分は何を改善すべきか、自分なりの答えを導き出してみればいい。欠点や弱点は、必ずしも後ろ向きなものではなく、前に向くためのエネルギーだと思いますよ。

松本 :自分自身を改善するいろんな方法を教えていただいて、僕にとっても本当に参考になりました。

増岡先生 :卒業時にはプロの一歩手前の段階までの力をつけることができる、それが専門学校で学ぶ魅力です。だから、演劇の知識・技術・勇気・行動力、それらを少しでも多く身につけて世の中へ飛び出していってほしい。そして、この学校にはそうしたことを学べるプロの講師、設備、競い合う仲間、サポートしてくれるスタッフが揃っています。こんな優れた環境を使わないままに、ただ諦めてしまうのはもったいないことです。私もそのためのお手伝いが、少しでもできたらいいな、といつも思っていますよ。

教育顧問 声優・俳優

増岡 弘 先生

『サザエさん』マスオさん役、『アンパンマン』ジャムおじさん役など、日本を代表するアニメの国民的声優

アニメ『サザエさん』マスオさん役、『それいけ! アンパンマン』 ジャムおじさん役などを演じる国民的声優。学生時代は美術の仕事をめざし、史上最年少で二科展入選。その後“言葉の可能性”に気づき役者に転向。1986 年には、若手俳優育成のために「劇団東京ルネッサンス」を設立、主宰。本校アニメ声優コースにて、特別ゼミ『群読ワークショップ』を指導。2014 年度より教育顧問に就任。

俳優

松本祐一 さん

若手俳優として、舞台を中心に、WEB アニメ・MC・モデルなど、分野を越えてマルチに活躍!
(株)bamboo 所属
●平成23 年卒業
●アニメ声優コース●高知県出身

本校在学中よりWEB アニメ『わかさ生活メガラック』のアテレコ&吹き替えなど芸能活動を展開。舞台『K』三科草太役(六本木ブルーシアター)、『PERSONA3 the WIN〜群青の迷宮〜』ジン役(シアター1010)ほか数多くの舞台にも出演。また、劇団平熱43 度のメンバーでもある。イベント『御堂筋Kappo 2011』ではMC を務めるなど、芝居・MC・モデルと分野を超えて幅広く活躍中。

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